医薬品は病気に対抗する数少ない道具の1つであり正しく使用すれば高い治療効果が得られます。
しかし使用方法を誤ると人体に対する有害作用が発現してしまいます。
薬剤師は医薬品による副作用を予防し、治療効果を最大限発揮できるよう薬の専門家として患者様や職員へ正しい情報提供を行っています。
開院以来、10年間で薬剤部の業務内容にも様々な変化がありました。
平成16年10月には入院患者様のベッドサイドに赴き薬剤管理指導業務を開始しました。
平成25年8月からは急性期病棟への薬剤師常駐業務を開始し、薬剤師の活躍の場が広がりました。
平成26年3月には電子カルテが導入され、それまでの手書き処方に比べると作業効率が向上しました。
このことが患者様の待ち時間の短縮等につながればと思っています。
10周年を迎え気持ちも新たに、他の医療従事者と共に薬剤師としての専門性を活かした業務を行って参ります。
薬剤師は処方箋を受け取ってからあらゆる工程で 薬学的見方より処方箋の確認をして疑問が生じた場合には 医師に問い合わせ、必要があれば訂正してもらいます。また、薬剤部では患者様が医薬品を服用し易いように 様々な工夫をしています。
お薬の種類が多くて正しく服用することが困難な患者様には、用法毎に袋詰めする一包化調剤や、 粒が大きく飲み込みづらい患者様への錠剤を粉薬にする等の方法を多く用いています。服用方法に悩んでいる患者様がいましたら医師または薬剤師へ気軽にご相談ください。
外来の処方箋は次の流れで医薬品に変わります。
基本的には入院患者様のお薬も外来患者様同様の過程で調剤されていきますが、入院患者様の場合には注射薬の調剤も行います。
薬剤部では入院患者様が安心してお薬を服用できるように患者様のベッドサイドで薬効・用法・用量・副作用・相互作用・注意事項等の情報提供を行っています。さらに検査値や患者様の訴えより副作用の予防に努め、必要であれば医師にお薬の変更や中止を提言することもあります。
また当院には難病病棟があるので意思表示が困難な患者様も多く入院されています。そのような患者様にはコミュニケーション伝達装置等を活用して情報提供に努めています。
服薬指導ではお薬の説明以外にも日常生活の注意点等も合わせて説明させていただいています。
今日では通信手段の向上により医薬品に関する情報も手軽に入手することができます。しかし情報化が進むにつれて誤った情報が多く流出していることも事実です。
薬剤部では医薬品情報専用のDI室を設けて患者様や職員に正確な情報をいち早く提供できるよう心がけています。
患者様への情報提供としては、質問に対する返答や服用方法に注意が必要なお薬には説明書を添付するなどを行っています。
職員への情報提供としては、新しい情報は定期的に『薬剤部NEWSレター』という形で医師や関連部署へ資料の配布を行っています。医療事故防止の観点より外観の似ている薬品や使用方法が特殊な医薬品は採用変更を検討するほか注意を促す資料を全職員対象に配布するなどしています。
医薬品は緊急で必要になる場合があり管理が難しい品目の一つです。
また病院支出の中で医薬品費の占める割合は決して小さくありません。採用薬の選定や、各部署から請求を受けての発注、過剰在庫の処理も薬剤部の重要な業務です。
薬剤部では過去の購入数の把握や病棟在庫の管理、緊急薬には最低在庫数量を設定するなどして医薬品の安定供給を心がけています。さらに麻薬、向精神薬、毒薬、劇薬、特定生物由来製品(血液製剤等)は薬剤部主体で徹底した管理を行っています。
また、院内感染防止のために滅菌・消毒法の説明や消毒薬の管理も行っています。
注射剤や点眼剤は他の製剤に比べて細菌に汚染されていると、人体に著しい悪影響を及ぼす危険があります。
薬剤部ではクリーンベンチを利用し高カロリー輸液の混注や 点眼剤の調製を行っています。
抗がん剤など一部の医薬品は投与量が厳密に設定されています。
薬剤部では化学療法を行う際に投与される抗がん剤の混注を行っています。抗がん剤の混注は薬液等に暴露しないように、防護服を着用し安全キャビネット内で行っています。
現在、医薬品の安定性や製薬企業の採算性の問題により治療に必要な医薬品が全て市販されているわけではありません。
薬剤部では医師の要請を受けて市販されていない薬剤を調製し充実した診療に貢献しています。
薬剤部では幅広い知識を持つ薬剤師の育成を目的とし各種勉強会を実施しています。
薬剤部独自に院内・院外から講師を招いた定期的な勉強会や徳洲会グループ又は製薬企業主催の勉強会への積極的参加により薬剤師としての知識向上に努めています。
また、薬学以外の勉強会の実施・参加を通して医療人としての基本的知識も身に付けることができ、チーム医療の一員として活躍の場が広がりました。
さらに薬剤部では業務の合間を利用した学会参加や学会発表も行っています。
山形徳洲会病院 薬剤部
yaku.yamagata@tokushukai.jp