膝前十字靭帯(ACL)損傷の患者様へ
はじめに
山形徳洲会病院スポーツ整形がスタートし10年目となりました。プロスポーツ選手やオリンピック選手を含めて数百例の前十字靭帯再建術を手掛けてきました。
今後も手術手技およびリハビリテーションに改良を加え、最短復帰、再損傷0%を目指して努力して参ります。
最新のカメラシステムの紹介
最新のカメラシステム(Anrthrex Synergy HD3)をアメリカから導入しました。
画像がとにかくきれいです。→手術がさらにやりやすくなりました!!
カメラの径がさらに細くなりました。→手術のキズがもっと小さく!!
画像処理が簡便に!→術後の説明は、iPadで分かりやすく!!
手術時の膝関節内の画像を患者様のアドレスへメール送信サービス!
再建に用いる靭帯のチョイスがより広がりました!!
患者様の膝の状態や希望を考慮して、より最適な組織を用いて再建術を行います。
1.膝屈筋腱を用いる方法
膝の内側後方から、膝を屈曲するハムストリングという腱を採取して、数重折りにして太くした腱組織を、前十字靭帯の位置に移植する方法。
メリット
- 手術後の痛みが少ない
- 手術の傷が小さい
- 手術後の膝の可動域の改善が早い
デメリット
- 膝の屈曲筋力の回復に期間を要することあり
2.膝蓋腱を用いる方法
膝のお皿の下にある幅30mm程の膝蓋腱から中央部分の約10mmを両端に骨片をつけた状態で短冊状に採取した組織を、前十字靭帯の位置に移植する方法。
メリット
- 骨付き靭帯組織なので、靭帯の癒合が早く、再断裂リスクが少ない
デメリット
- 手術後の痛みが残存しやすい
- 痛みが出ると筋力回復がかなり遅れてしまう
- 膝を伸ばす筋力の回復に期間を要することあり
- 膝の可動域の改善に期間を要することあり
3.大腿四頭筋腱を用いる方法
膝のお皿の上にある大腿四頭筋腱の中央部分から片側に骨片をつけた状態で約10mm幅の短冊状に採取した組織を、前十字靭帯の位置に移植する方法。
メリット
- 骨付き靭帯組織なので、靭帯の癒合が早く、再断裂リスクが少ない
デメリット
- 手術後の痛みは①と②の中間ぐらい
- 膝を伸ばす筋力の回復に期間を要することあり