船橋整形外科肩グループによる肩専門外来を行っております。
月1回(詳細は、月間予定表をご確認ください)
電話予約制、当日の新患も受け付けます。
担当医師:菅谷 啓之、高橋 憲正、渡海 守人、大西 和友、飯島 裕生
五十肩と言われたが、長期にわたり肩の痛みが続いている、何度も肩が脱臼(あるいは亜脱臼)をしてしまう、スポーツをしたいが肩や肘の痛みで思うようにプレーできない、病院に行ってもスポーツを休むように言われてしまうが他に治療法はないのか、などなど肩や肘の痛みや障害でお困りの方のお力になるべく肩肘関節センターは設立されました。
当センターでの治療の特色は、(1)全身の関節・筋機能の十分な評価とその治療 (2)関節鏡を用いた低侵襲手術の2点にあります。当センターでは肩・肘の局所の評価と治療に加え、肩や肘の痛みや障害を引き起こした本当の原因を全身の機能診断によって評価して、適切な治療を行います。また、手術が必要な場合は、関節鏡を用いた低侵襲手術によって、正常組織には侵襲を加えることなく、病変部だけを治すことが可能で、術後の痛みを軽減して速やかに機能を改善することが出来ます。
肩肘疾患に精通したスタッフが多角的なアプローチによって、肩や肘の痛みや障害の改善を図ります。
代表的な肩・肘関節の治療について
肩腱板断裂
リハビリテーション、注射等
反復性肩関節脱臼
関節鏡視下手術(バンカート修復術)
いわゆる五十肩
リハビリテーション、注射等
肩関節拘縮
リハビリテーション、注射等
投球障害肩、野球肘
リハビリテーション(下肢から骨盤・脊椎・肩甲帯の機能改善を図ります)
肩腱板断裂
腱板とは、肩甲骨と上腕骨をつないでいる棘上筋、棘下筋、肩甲下筋のことで、50歳以降に好発します。転倒したり、肩をひねったりなどの外傷後に発症する場合と、特にきっかけがなく発症することもあります。専門医でないと診断が難しいこともあり、五十肩と診断される場合も多いようです。五十肩が半年以上治らないようでしたら専門医を受診されるようお勧めいたします。
腱板断裂の症状は、肩を上げたり下げたりした時の痛みや体の後方に腕を動かしたときの痛み、さらには夜間時の痛み、また肘を脇から離しての上方での作業で力が入りにくい等があります。
治療は、注射やリハビリ療法などの保存療法を適切に行うことが重要で効果を発揮します。しかし、断裂した断端が物理的に肩の関節内で引っかかりを起こしている場合や腱板が大きく切れて筋力が低下している場合、発症後3ヶ月以上症状が続く場合は手術が必要になる可能性が高くなります。
当センターでは、可能な限り患者様に負担の少ない治療を考慮しており、リハビリや注射等の治療を十分に行います。また手術が必要な場合は、関節鏡を用いた侵襲の少なく、より術後の回復の早い治療を行います。関節鏡手術は、正常な組織を傷つけることなく、病変部を正確に判断して治療することが可能で、従来の切開する手術に比べて格段に術後の回復を改善させています。入院期間は1週間程度で、術後は、装具で3週間ほど患肢を固定しますが、入浴やリハビリの時には適宜外すことは可能です。個人差はありますが、日常生活復帰は2ヶ月、軽作業が3ヶ月、重労働は6ヶ月で可能となります。
反復性肩関節脱臼
肩が何度も外れてしまう状態のことで、柔道やラグビー、スノーボードなどのスポーツで受傷することが多いのですが、スポーツ中に繰り返すだけでなく、寝返りや肩を挙げた時など日常生活の動作の中で、脱臼を繰り返す場合もあります。
病態としては、肩関節の前下方に位置する下関節上腕靭帯という靭帯が緩んでしまって靭帯として機能しなくなっています。初回脱臼時の年齢によってその後、反復性脱臼いわゆる“脱臼癖"になる確率は異なり、20歳以下では約90%、20歳から40歳では60%が反復性に移行すると言われています。“脱臼癖"になる確率を減らすために最近では、外旋位固定装具という特別な装具が開発されていますが、まだスポーツ選手では十分な効果を挙げているとの報告はありません。
治療は、剥がれてしまった靭帯を元に戻す必要があり、完治には手術が必要です。よくリハビリで肩周囲の筋肉の強化をするとよいと言われますが、脱臼の本態である緩んだ靭帯を修復しているわけではないので、肩に大きな力が加わればまた脱臼してしまいます。 手術は、従来は大きく肩を切開する直視下法が行われていましたが、正常組織を損傷したり、術後の肩の硬さが残ったりして、満足のいくスポーツ復帰は出来ない場合もありました。現在は関節鏡を用いて関節内の壊れた部分だけを修復できるようになったため、正常部分への負担はほとんどなく手術を行え、高率に満足のいくレベルでのスポーツ復帰が可能になっています。術後は、装具で3週間ほど患肢を固定しますが、入浴やリハビリの時には適宜外すことは可能です。個人差がありますが、術後1~2ヶ月で日常生活には不自由がなくなり、3ヶ月で軽いスポーツ、6ヶ月で大抵のスポーツ復帰が可能となります。ただし、ハイレベルでのスポーツ活動で不自由を感じなくなるまでには、最低でも術後1年ぐらいかかります。
いわゆる五十肩
五十肩は“肩の痛み"と“肩関節の動きの制限"の2つを主な症状とする疾患で、明らかなケガやきっかけがなく徐々に上記の症状が出現します。原因は諸説ありますが、肩周囲の筋肉のこわばり、さらには普段の姿勢や肩の酷使などが挙げられ、その結果として肩関節で炎症が起きることで痛みが生じます。以下の項目に該当する方は、五十肩の可能性があります。
- 夜間寝ている時に肩の痛みがある。
- 安静時に肩の痛みがある。
- 肩をどの方向に動かしても痛い。
- 肩を挙げづらい、手を背中に回しにくい。
痛みが強い時期は無理に動かさずに肩の安静を保ち、必要なら関節内へのステロイド注射を行います。痛みが軽快したら適切なリハビリを行い、肩の動きを改善させます。しかし、その場合も肩の痛みが出ることは避けます。
投球障害肩、野球肘
野球やバレーボール、ハンドボールなどオーバーヘッド動作でボールを打ったり投げたりするスポーツでは肩や肘を痛めてしまうことがあります。しばらくスポーツを休めば痛みは軽快しますが、復帰すると痛みが出てしまうことを繰り返して、なかなか良くならない選手もいます。
スピードのあるボールを投げたり、力強いスパイクを打ったりするには肩や肘だけの働きでは出来ません。下半身がしっかり安定してしかも柔軟に動き、下半身に生じたエネルギーを骨盤、体幹、胸郭、肩甲骨と順次伝え、肩がしなやかに動き、肘が伸びて、手指に力が加わることで、ボールに効率良く最大のエネルギーが伝えられます。この運動の連鎖がスムーズに行われていれば肩や肘の負担は少なく、高いパフォーマンスを維持できます。逆にこの運動連鎖が破綻すれば、肩や肘には大きな負担がかかって痛みが生じ、さらには腱や軟骨を損傷してしまいます。
治療は、肩や肘自体の問題よりもむしろ、肩甲帯や胸郭、体幹、骨盤、下肢などに問題がある場合が殆どなので、これらの部位の可動性、運動パターン、筋力、姿勢等を評価して、個々人に合わせた理学療法を行います。
理学療法の効果が上がらないか、あるいはその効果が一時的で維持できない場合に限り、手術が必要になります。手術は関節鏡を用いて損傷した関節内の組織の処置・修復を行います。術式は肩の場合は、関節鏡視下に剥がれてしまった関節唇(SLAP lesion)を切除あるいは縫合を行います。腱板関節面断裂がある場合は、同部のクリーニングや断裂が深い場合は修復を行います。肘の場合は、離断性骨軟骨炎と呼ばれるいわゆる外側型の野球肘で軟骨が剥がれている場合は、剥がれた軟骨を関節鏡視下に摘出します。関節鏡とその後の全身の運動連鎖を重視した理学療法によって、正常組織には侵襲を加えずに手術することができ、満足出来るレベルでの術後スポーツ復帰を可能にしています。