なるほど健康講座03「始めよう! ウォーキング(3)」
大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長
始めよう! ウォーキング(3)
山形県は生活習慣病による死亡率が全国2位という不名誉なデータがあることを知っていますか?
かつては「成人病」と呼ばれた高血圧症、糖尿病、高脂血症などの疾患は、運動不足、不適切な食生活、喫煙、過度の飲酒など生活習慣の・ゆがみ・が原因。
これらの疾患は自覚を促す意味合いも込めて1996年から「生活習慣病」と呼ぶようになりました。
前回のコラムで、健康づくりを目的とした運動として「ウォーキング」をおすすめしました。
体に負担が少なく、手軽に始められる運動であり、生活習慣病の予防や改善の効果も実証されています。
今回は、ウォーキングの際に、大地との接点となる足の健康についてお話ししましょう。
足はあなたを支える第2の心臓
足は第2の心臓と言われています。下肢に流れ込んだ血液を心臓に送り返す役割を果たしているからです。
正常なポンプ作用を発揮するには血流が豊富な筋肉が必要です。筋肉が衰えるとポンプ作用が悪くなり、むくみやすくなったり、冷え性になったりします。
外反母趾の症例
外反母趾とは、母趾先端が外側(小指側)に曲がり、母趾のつけ根が内側に突出し、痛みが生じる病気です。進行すると痛くて歩けなくなったり、足の変形のために履ける靴が制限されたりします。油断すると、年をとってから変形がひどくなり、痛みが再発することもあります。
ウォーキング&指運動で筋肉づくり
筋力不足のほかに、足の健康を害する原因としては、不適切な歩き方、足に合っていない靴などが挙げられます。
体にやさしい歩き方については前回のコラムで紹介しました。地面と足がけんかしないように、力まず楽に歩くことです。
ご自分の靴の底の減り具合を調べてみましょう。靴底の後方外側が左右均等に磨り減っているのが通常です。左右差が大きかったり、磨り減る部分が違ったりする場合には、歩き方を見直してみてください。
左右が不均等な靴底の例
外側が極端に減る人には「O脚」や「がに股歩き」の人が多く、内側が極端に減る人には「内股歩き」の人が多くいます。写真は、歩き方のバランスが悪く、左右が不均等に減っている人のものです。
最適な靴を選んで健康な足づくりを
足に合った靴を履くことも大切です。足に合わない靴を履くと、一歩一歩の不具合が蓄積し、足を痛めるだけでなく、膝や腰などへも悪影響を及ぼすことがあります。
靴はファッションの一つでもありますが、機能性を重視した場合は「トレーニングウエアー」と言えます。足や膝や股関節の不具合を調整するオーダーメイドの靴は、治療用装具として効果を発揮します。
最近では、靴底の工夫から歩行や姿勢を正すトレーニンググッズとして売り出されている靴もあります。
ご自分の足を眺めたことはありますか?手を眺めることはあっても、目から遠い足をじっくりと眺める人は少ないことでしょう。 ぜひ、ご自分の足を見つめ直し、足元から健康を保ちましょう。
2007年(平成19年)3月9日 金曜日 第12号 6面より