なるほど健康講座13「足関節ねんざ(1)」
大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長
日差しが暖かさを増し、スポーツを楽しむ方が増える季節になりました。でもスポーツにつきものなのがケガ。そこで今回からはスポーツ傷害についてお話します。
スポーツにケガは付き物
私自身、骨折、ひざ靭帯(じんたい)損傷、免疫不全による顔面神経麻痺など、スポーツで散々な目に合っています。それでも現在もスポーツに関わっているのはスポーツの魅力(魔力?)によるものなのでしょうか。
スポーツ傷害はスポーツがハードになるにつれ、また活動時間が長くなるにつれ発生率が増加します。健康増進を目的としてスポーツをする場合、「一時的に頑張る」たぐいの運動は危険で不適切です。「無理せず楽しく」をモットーにしたスポーツを継続することが適切な運動と言えます。
頻度が高い足関節ねんざ
初回ではまず、代表的なスポーツ傷害である「足関節ねんざ」の処置を取り上げ、ケガの基本処置についてお話しましょう。
足首のねんざはスポーツ選手にとって頻度が高いケガですが、受傷直後は痛みが軽いため安静を怠り、翌朝になって痛みが増強した経験を持っている方も少なくないと思います。
また適切な治療を受けず放置してしまった場合などは、足関節の緩みが残り、ねんざを繰り返しやすくなったり、慢性の関節炎を抱えるようになったりすることもあります。
ねんざをしたら「RICE処置」
ねんざは程度の差はあっても靭帯損傷が生じているのです。損傷直後から「RICE処置」を施し、靭帯の早期修復を促す必要があります。
「RICE」とはR(rest=安静)、I(icing=冷却)、C(compression=圧迫)、E(elevation=挙上)のことです。
ケガからの早期復帰のカギはRICE処置で患部の腫れを最小限にすることです。ケガの直後から行うことが大切で、局所と全身の安静を図ります。患部をアイシングし、軽度圧迫を加え、心臓より高い位置に挙上することで、患部の腫れを最小限にすることができます。
アイシング(冷却)は1回15分から20分、40~60分間隔で間欠的に行うと効果的です。
腫れはケガをしてから5~6時間経ったころに激しくなってきますので、受傷直後から半日~1日はRICE処置を繰り返して下さい。
2008年(平成20年)6月13日 金曜日 第42号 6面より