なるほど健康講座11「膝の話(5)」
大沼 寧 山形徳洲会病院 整形外科部長
膝の話は今回で5回目になります。皆さんの膝に対する知識はだいぶ増えましたか?
これまでのお話を簡単に復習してみましょう。まず膝関節には2種類の軟骨があって、関節表面を覆っている硝子(しょうし)軟骨と、内外側にある線維軟骨(半月板)でしたね。
2つの軟骨とも加齢の影響を受け、年齢とともに磨り減ったり、もろくなって損傷を受けやすくなります。立ち上がったり、歩いたりした時に膝が痛み出す――こんな症状は膝関節の磨耗から生じる「変形性膝関節症」です。
そんな膝の痛みを和らげる特効薬として「グルコサミン」「コンドロイチン」が脚光を浴びており、これらの成分を使った内服薬が多く出回っていますが、現時点では効果に太鼓判を押せるものではないということにも触れました。
そこで今回ですが、膝に対する治療法の主役は運動療法ということを強調したいと思います。正しい知識を持ってご自分の膝と向かい合ってください。
膝関節にとって大切なことは、いたわりながらも適度に使い続けることです。機械と同様、人間の膝も動かさないとサビ付くように固くなる傾向があります。
痛みが強い時は安静が必要になりますが、安静時間が長すぎると膝関節を守っている周囲の筋肉が衰えてしまい、歩行時の安定性が低下してしまいます。こうなると結果的に膝痛を増強させてしまうことになります。
日ごろから適度な運動を行う習慣を身につけ、自分の膝は自分自身で守るという心がけが大切です。これからの長い人生、体を支えてくれる膝とは上手に付き合いたいものです。
2008年(平成20年)1月25日 金曜日 第33号 6面より